特許事務所と知財部の違いは?転職で後悔しないために必見です

特許事務所と知財部の違い

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この記事は、特許事務所から企業の知財部に転職した弁理士が書いています。

特許事務所と知財部はどちらも知財を扱う職場ですが、様々な点で違いがあります。

特許事務所や知財部に就職・転職を考えているのなら、後悔しないように違いを押さえておきましょう。

この記事を読むと、自分が特許事務所と知財部のどちらに向いているのかが分かるようになります。

目次

仕事内容の違い3選

PCを使った仕事

特許事務所と知財部は、同じように見えても仕事内容が大きく異なります。

仕事内容の相違点は主に次の3つです。

特許事務所の方が技術分野の幅が広い

特許事務所は機械メーカー、電器メーカー、化学メーカーなど様々なクライアントからの依頼を受けます。

個々の所員としても複数のクライアントの仕事を担当するのが普通です。

さらにジョブローテーションによる担当変更もあり得ます。

このように特許事務所では幅広い技術分野を担当するチャンスがあります。

技術の勉強量が多くなるため大変ではありますが、自分の得意分野を探すことができるのはメリットです。

私自身、もともとは化学系が専門でしたが、多くの技術分野に触れることで情報処理に一番向いていると分かりました。

一方、知財部は自社の知財業務だけを行います。

つまり、自社に関係する技術分野だけに対応できればOKです。

会社の事業が複数の技術分野にまたがることもありますが、あくまでの1つの会社の範囲内です。

かけ離れた分野を担当することはありません。

知財部ではこのように技術分野の幅は狭いですが、その分、深く追求できるのがメリットです。

知財部の方が業務の幅が広い

特許事務所はいわゆる権利化業務が9割以上を占めます。

権利化業務とは特許などの知的財産権を取得するための業務です。

一方、知財部でも権利化業務は重要ですが、 権利化した知財を管理したり、活用したりする業務も多くあります。

特許事務所は個人プレー中心、知財部は社内調整が多め

特許事務所では一人で出願書類を作成する時間が長く、個人プレーの要素が強いです。

新人のうちは上司の指導を受けながら業務を進めますが、独り立ちすれば自力で仕事しなければなりません。

一方、知財部はチームで仕事を進める意識が強いです。

特に他社との交渉や訴訟など、大きな事件の場合は複数の部員が協力しながら業務を進めていきます。

個々の業務について詳細を知りたい方は下記記事をどうぞ。

年収の違い

給料袋に入ったお金

続いて気になる年収事情です。

特許事務所と知財部のいずれの平均年収も、全業種(正社員)の平均389万円を上回っています(データの引用元はこちら)。

以下、客観的なデータを用いて具体的な金額を説明していきます。

特許事務所の年収

特許事務所に所属している特許技術者の平均年収は約600万円です(データの引用元はこちら)。

ここで特許技術者とは、出願書類の作成などの専門業務を行う人を指します。

弁理士資格を持っている人も持っていない人も含みますが、事務員を含みません。

特許事務所は成果主義を採用している場合が多く、実力によって年収に個人差があるのが特徴です。

なかなか年収が伸びない人もいれば、20~30代のうちに年収1000万円に到達する人もいます。

また、将来的に共同経営者に昇進したり、独立開業したりすれば年収を数千万円以上に伸ばすチャンスがあります。

知財部の年収

知財部の平均年収は約700万円です(データの引用元はこちら)。

年収は会社内の給与規定に従いますので、他の部署と同じ水準です。

しかし、データで見ると、知財部の平均年収はメーカーの平均年収465万円よりも大幅に高くなっています(データの引用元はこちら)。

考えられる理由は、知財部が設けられている会社は規模が比較的大きいからです。

年収が低い傾向にある小さな会社がデータから除かれることで、平均年収が上にシフトしていると考えられます。

日本企業は年功序列の色が強い場合が多いため、年齢が上がるにつれて年収が伸びていき、特許事務所に比べて個人差が少ないのが特徴です。

また、住居手当などの福利厚生が充実している会社なら、プラスアルファの付加価値があります。

その反面、年収の上限は会社ごとにおおよそ決まっており、特許事務所のように数千万円以上に伸ばすのはほぼ不可能でしょう。

もし、入社したい会社が決まっているのなら、その会社の年収を調べれば知財部の年収も予想がつきます。

働き方の違い

スケジュール帳

特許事務所と知財部では、働き方や就業規則の点でも異なった傾向があります。

特許事務所の働き方

特許事務所では勤務時間が比較的自由で、フレックスタイム制を採用しているところが多いです。

一般にフレックスタイム制では、コアタイム(例えば11:00~15:00)に勤務していればその他の時間帯で自由に勤務できます。

仕事さえこなせば、決まった時間に働かなくてもよいという成果主義の考え方です。

育児・介護などの家庭の事情がある人や、どうしても朝が苦手な人などには大きなメリットでしょう。

知財部の働き方

知財部の勤務時間はきっちりと決まっている場合が多いです(例えば9:00~18:00、8:00~17:00)。

メーカーではチームプレーの要素が強く、全員が同じ時間に勤務している必要があるからです。

休暇の取得についてはそれなりに自由(なはず)ですが、会議の日や他の部員が忙しそうにしている時期など、取得しづらい状況が時々あります。

自由度が低いと言っても、自己管理が苦手で会社に管理された方が働きやすい人には逆にメリットだと思います。

特許事務所と知財部のどちらを選ぶべき?

選択

特許事務所と知財部の違いを説明しましたが、どちらが自分に合っているのか分かりましたか?

両者の違いを踏まえて特許事務所に向いている人、知財部に向いている人をまとめてみます。

特許事務所に向いている人

個人作業が好きな人

特許事務所では書類作成作業が中心です。

個人で黙々と作業するのが好きな人に向いています。

高年収を目指したい人

特許事務所は基本的に成果主義・実力主義なので、実力次第でどんどん収入を伸ばせます。

一般の会社員の年収を上回る高収入を目指したい人に向いています。

自由な働き方をしたい人

特許事務所では自分の仕事さえこなしていれば、勤務時間の自由が効きやすいです。

また、在宅勤務のしやすさも知財部以上です。

知財部に向いている人

チームで仕事したい人

知財部では他の部員や社内の技術者などと協力して仕事を進めていく機会が多くあります。

個人よりもチームで成果を上げたい人に向いています。

安定した収入がほしい人

知財部では圧倒的な高収入は難しいものの、個人の業務量にブレがあっても毎年安定した収入を得ることができます。

堅実な生活を望む人には知財部が向いています。

色々な業務を経験したい人

特許事務所は権利化業務が中心ですが、知財部ではその以外の業務(契約や係争など)の機会も多めです。

業務の幅が広い方がよい人、まずは色々経験して適正を判断したい人には知財部の方が向いています。

特許事務所や知財部に就職・転職するには?

履歴書

新卒で特許事務所に就職する場合

新卒で特許事務所に就職するには2つの方法;

  • マイナビ・リクナビなどから応募する
  • 特許事務所のウェブサイトから応募する

があります。

詳しくは下記の記事をどうぞ。

新卒で知財部に就職する場合

新卒で確実に知財部に入るのは難しいかもしれません。

なぜなら、配属先の部署は入社後に決定する会社が多いためです。

知財部配属の可能性を高めるには、知財検定を受験したり、採用面接で知財部を希望したりしてアピールをするのが有効です。

それでも他部署に配属されてしまった場合は、入社後に知財部への異動希望を出してもよいでしょう。

特許事務所または知財部に転職する場合

特許事務所・知財部の転職先の探し方は

  • パテントサロンの求人スクエアから応募する
  • 特許事務所・会社のウェブサイトから応募する
  • 転職エージェントを利用する

の3つがあります。

手間はかかりますが、これらの方法を併用して妥協せずに探すことをおすすめします。

特に転職エージェントを使った方法は、非公開求人にも応募できたり、エージェントのサポートを受けられたりするメリットがあります。

おすすめのエージェントは、知財職専門の担当者が所属しているリーガルジョブボード(登録無料)です。

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