プロフィール

はじめまして。弁理士のイシワカと言います。

機械メーカーの知財部(知的財産部)で働く30代♂です。

みなさんは、(理系が多いと思いますが)弁理士とか知財部とか聞いてピンときますか?

多分、よく分からないという答えが返ってくるのかなと思います。

一般には知名度が高くない仕事のようで、周りの人と話していても反応はビミョーです(笑)。

なぜ、私がその「よく分からない」仕事をすることになったのか、お話ししていきます。

少し長くなりますが、弁理士試験や知財の就職・転職の話に興味のある方はぜひ読んでみてください。

イシワカの経歴

大学~大学院

今でこそ機械メーカー勤務ですが、元々は薬学が専門です。

私が大学に通っていた当時は、薬学部で4年勉強して試験に受かれば薬剤師資格を取れた時代でしたから、それが魅力で薬学を選びました。

高校生らしい浅い考えで「メーカー研究職がいいかな~。ダメなら薬剤師があるし」などといい加減な気持ちで進学してしまいました。

薬学に特別興味があったわけではないので、大学1~2年のうちは勉強に身が入らず、サークルやネットなどで時間を潰す日々。

ダラダラと過ごすうちに学部3年になり、研究室に配属される時期になりました。

研究室選びはまたしてもテキトー。仲の良かった同級生と同じ研究室に入りました。

そして、初めてテーマを貰っての研究がスタートです。

意外にもここに来て気持ちに変化が出てきました。

自分だけの研究テーマに愛着を覚え、また、日々の研究生活は新鮮でした。

モチベーションを持って実験に励み、学部生にしては中々頑張っていたかなーと思います。

大学卒業後はもっと続けたいという思いで大学院に進学しました。

薬剤師免許を取ったのはちょうどこの時期です。

大学院中退~とりあえず就職

順調に見えた研究生活でしたが、徐々に停滞して思うように結果が出なくなってきました。

しかも修士1年下半期からは就活と両立する必要が出てきました。

このときに志望したのは製薬メーカーの研究職です。

会社説明会に参加し、エントリーシートを書き、面接を受ける日々。

時間的にもしんどく、追い詰められて鬱病の一歩手前になっていたんじゃないかと思います。

研究に身が入らなくなって指導教官との関係も次第に険悪になり、ついにある日、決別することになっていまいました。

勢いで大学院を中退し、帰省。

「とにかく就職をしなくては」ということですぐに調剤薬局への就職を決めました。

薬学部が乱立する前の頃で、新卒カードが使えなくても苦労なく就職できたのは運がよかったです。

わずか5か月で退職

かくして調剤薬局での勤務が始まりました。

研究室生活のときに比べて環境は激変です。

薬剤師の仕事は、簡単に言うと、処方箋にしたがって調剤した薬を患者さんに渡し、飲み方などの指導を行います。

処方箋におかしいところがあったり、イレギュラーなことが発生する場合には対処しなければなりませんが、ルーティーンワーク的な要素が強かったです。

例えば、風邪が流行っている時期には同じ風邪薬を延々と調剤する感じです。

接客要素が強いのも個人的には面白いと思えず、「やっていけるだろうか」と次第に違和感を覚えるようになりました。

結局、慌てて就いた仕事は板につかず、わずか5か月で退職することになりました。

知財の世界へ~弁理士試験に挑戦

退職したときには次のことを何も決めていなくて、不安で仕方ありませんでした。。

でも、よく考えずに決めても長続きせずに、就職しては辞めての繰り返しです。

次こそは後悔しないようにと、まず自分の気持ちに耳を傾けることにしました。

研究は挫折してしまったけど、後ろ髪をひかれる思いはあるな……

でもメンタルが弱いし、結果が出ないとまた病んでしまうかも

今まで勉強してきたことを無駄にしたくない

そんな想いを抱えながら本屋に通ったり、ネットで調べたりして……ある職業にたどり着きました!

弁理士

特許などの知的財産権の専門家

薬局でジェネリック医薬品(特許が切れた薬)を扱うことはあったのですが、特許のことは今までよく知りませんでした。

まずは本屋で弁理士の職業紹介のような本を買って読んでみました。

内容はざっくりしていましたが、ますます興味が湧いてきました。

個人的に魅力に感じたポイントは、

  • 理系の知識・経験が活かせる
  • 実験結果に左右されず、自分次第で安定したアウトプットができそう
  • 文章力を磨ける
  • 弁理士試験に一部免除制度がある(薬剤師は選択科目免除)
  • なんかカッコイイ感じがする←コレ重要

ただ、弁理士になるには高難易度の国家試験に合格する必要があるようです。

どんな問題だろう?と特許庁のウェブページから過去問をDLして見てみると

……これ日本語か?

専門用語の意味を調べつつ、何とか読み解こうとするもあえなく撃沈。

こりゃ埒が明かんということで、数日後、資格予備校のLEC東京リーガルマインドの門を叩くことになります。

(ちなみに2010年当時、法律系資格と言えばLECが定番だった気がします。今はもっと様々なサービスがありますね)

アルバイトをしつつ、さっそく勉強をスタートしました。

この頃には「弁理士になるんだ」という決意は固まっていました。

週2回の通学と通信講座で勉強すること半年。

短答式試験にはなんとか合格することができました。

しかし、登竜門とも言われる論文試験には歯が立たず、結果は不合格。

一発合格は難しいみたいだから仕方ないか、と前向きに考えて勉強の再開です。

昔から机の上で勉強するのは好きで、辛さはほとんど感じませんでした。

むしろ、次の試験まで余裕があったので合間に英語を勉強していたくらいです。

特許事務所に就職

みっちり勉強した甲斐があって、翌年の論文式試験では手応えを感じました。

結果が出るのは2か月くらい先ですが、もし合格していたら残るは口述試験のみです。

弁理士試験のゴールは見えてきたので、このタイミングで就活を始めました。

就職先は特許事務所、メーカー知財部の2つ選択肢がありましたが、業務内容的に興味があった特許事務所に絞りました。

特許事務所のホームページに載っている求人欄を見て、いくつかに応募したところ、1つの特許事務所から「面接に来てください」と連絡が入りました。

面接に行ってみると、駅に近い小綺麗なオフィスで好印象。

経営陣との面接と、思考力を図る筆記試験を受けてきました。

なんとなくしっくりくる感じだったなと思いながら帰宅すると、すでに採用通知のメールが届いていました。

即決で採用してもらえてとても嬉しかったのを今でもよく覚えています。

他にも書類選考中の応募先が残っていましたが、こちらも誠意に応えて内定を受諾。

研究職の就活に比べると、特許事務所の就活はびっくりするほど楽でした。

後に周りの人に聞いてみて分かったのですが、一般的にも特許事務所への就職はそれほど難しくありません。

特許事務所での仕事

特許事務所での仕事は、特許出願書類の作成が大きな比重を占めます。

私は主に化学、情報処理、機械の分野の特許を担当していました。

化学は自分の専門に近いのですが、情報処理、機械は全く知らなかったので最初は戸惑いがありました。

しかし、自分の専門分野以外の仕事もするのは、実は特許事務所では普通のことなのです。

全く知らない分野にも好奇心を持ってぶつかって行ける人が、特許事務所向きと言えるかもしれません。

私の場合、このときに勉強した情報処理が今では一番好きな分野です(後に情報系の資格まで取ってしまいました!)。

専門外の知識を多く吸収できるのも特許事務所の醍醐味ですね。

ちなみに就職したその年に弁理士試験に最終合格することもできました。

メーカー知財部に転職

特許事務所に入ってから5年ほど経つと、仕事にもすっかり慣れてきました。

最先端の科学に触れることができ、働き方の自由度も高いし、生活は充実していました。

ただ、お客さん(メーカー知財部)と話していると、同世代の担当者でも「いろんなことを知っているなー」と思わされることがよくありました。

特許事務所では主に権利化までの業務を行いますが、発明の発掘や特許の活用といった部分にはあまり関わる機会はなかったです。

これまで会社勤めをしたことがないこともあり、一度は経験してみたいという気持ちもありました。

そういった事情がメーカー知財部に転職したきっかけです。

「そんな簡単に転職するの?」と思うかもしれませんが、知財業界では転職に抵抗がない人はけっこう多いです。

基本的な技能はどの特許事務所・企業にも共通するので、転職しても適応しやすいと思います。

転職活動では複数の転職エージェントを使って、未公開の求人にせっせと応募しました。

知財部の求人は未公開のものがたくさんあるので、転職エージェントは絶対に使った方がいいと思います。

応募数は数えていませんが、化学メーカー、機械メーカーを中心に多分20社くらいです。

いくつか内定をもらって、そのうちの1社に無事入社しました。

転職先を決めるときには重視したのは、第1に業務範囲です。

発明者と特許事務所を仲介するだけだったり、開発戦略にまで関与していたり、会社によって知財部の業務範囲は千差万別です。

求人情報から知財部の規模感を判断し、面接で業務について質問して希望に合う会社を決めました。

あとは待遇面や勤務地なども考慮し、最終的に1社に絞りました。

そして、現在もそのメーカーで勤務しています。

事前に詳しい話を聞いていましたから、入社後に大きなギャップはなく、特許事務所ではできなかった経験を積ませてもらっています。

部署外の人と話す機会も多く、色々な刺激を受けて考え方の幅も広がったかなと思います。

そして転職から5年ほど経ち、特許業界での自分の経験が誰かの役に立つかも、ということでこのブログを立ち上げることにしました。

このブログで伝えたいこと

ここまで読んで下さって、ありがとうございます。

最後にこのブログで伝えたいことです。

悩める理系の学生さん・エンジニアの方に知財という選択肢を伝えたい

あなたが本当に活躍できる場はもしかしたら知財かもしれません。

まずは、知財を選択肢のひとつとして知ってほしいと思っています。

特許・知財に興味がある方に特許の基礎や就職・転職術をレクチャーしたい

就職・転職について企業サイトは数多くありますが、求職者に寄り添って本音を語る場があってもいいと思います。

このサイトでは、初学者・未経験者にも分かりやすく役立つ情報を提供していきます。