弁理士試験への挑戦を考えている社会人の方へ。
「仕事と両立できるか心配」
「合格までどのくらいかかる?」
「勉強のコツを知りたい」
といった声があるかと思います。
この記事を読むと、働きながら弁理士試験に合格するまでの道筋が分かります。
働きながら弁理士試験に受かる?→可能だが、覚悟が必要
結論から言いますと、働きながら弁理士に試験に合格できます。
しかし、仕事と弁理士試験を両立するためにはそれなりに覚悟が必要です。
多くの受験生・合格者が社会人
弁理士試験の受験生・合格者の大半は実は社会人です。
例えば令和2年度弁理士試験の最終合格者の内訳は以下のとおりです。
職種 | % |
会社員 | 51.6 |
特許事務所 | 27.9 |
公務員 | 5.6 |
法律事務所 | 1.7 |
学生 | 3.1 |
自営業 | 1.0 |
無職 | 6.6 |
その他 2.4 | 2.4 |
引用元:https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/shiken-tokei/document/2020/8_saisyu_goukaku.pdf
会社員だけでも合格者の51.6%も占めています。
さらに特許事務所、公務員、法律事務所も加えるとなんと86.8%にもなります。
つまり、働きながら弁理士試験に合格できることは統計上明らかです。
合格までの平均受験回数=4回
確かに働きながらでも合格はできますが、合格までの平均受験回数は約4回です(令和2年度は4.02回)。
弁理士試験は年に1回実施のため、平均的な受験生が合格するまでに4年かかることになります。
4年と聞いてげんなりした方、ちょっと待ってください。
あくまでも平均4回ということであり、一発合格者は10%程度います。
2回目で合格した人まで合わせると、20~30%くらいになると思われます(データから推測)。
私の周りにも1発合格した人はいますし、私自身は2度目の受験で合格できました。
短期合格は決して不可能ではありません。
合格までの平均勉強時間=3000時間
弁理士試験合格者の平均勉強時間は3,000時間と言われています。
1年で3,000時間勉強しようとすると1日約8時間、2年なら約4時間です。
休日に集中的に勉強するとしても、働きながらでは厳しい数字です。
- 勉強時間をうまく作ること
- 効率的に勉強すること
の両方がポイントとなってきます。
働きながら弁理士試験に合格するコツ5選
忙しい社会人向けに弁理士試験合格のコツ5選を説明します。
隙間時間を活用する
隙間時間を活用することで勉強時間を稼ぐことができます。
少しの時間でも寄せ集めれば、1日当たりプラス1時間くらいにはなるでしょう。
試験勉強に使える隙間時間として例えば、
- 出勤前
- 通勤時
- 昼食後の休憩時間
- 夕食中
- 就寝前
が考えられます。
全ての隙間時間を使うのは辛いと思いますので、初めはできる範囲でいいと思います。
とにかく継続することが重要で、一度習慣化すれば無理なくこなせるようになります。
イレギュラーな隙間時間にも対応できるように、勉強媒体としてテキスト・講義動画・音声を常に携帯してください。
休憩時間など手が使えるときはテキストを、夕食中など目と耳が空いているときには動画を使います。
そして車通勤中など耳しか空いていないときでも音声なら勉強が可能です。
予備校のオンライン講義を利用する
講義動画・音声を携帯すると言いましたが、その入手先は予備校のオンライン講義です。
弁理士試験を独学で勉強するのはあまりおすすめできず、予備校を利用するのが近道です。
オンライン講義なら通学時間を削減できるので、働きながらの勉強に向いています。
予備校はお金がかかるイメージですが、近年は新しい予備校が参入してきており、相場が下がっきています。
その中で当サイト「特許らいふ」がおすすめしているのは、資格スクエアです。
資格スクエアでは、老舗予備校のような質の高い講義をオンライン受講することができます
昔なら初心者から最終合格までに50万円は必要だったのに対して、資格スクエアなら20~30万円程度です。
家族からの理解を得る
家庭持ちの方はご家族からの理解が欠かせません。
合格までの期間は勉強中心の生活になるからです。
具体的に何かをしてもらわなくても、応援してくれるというだけで勉強へのモチベーションが変わってきます。
飲み会に行かない
合格可能性を高めるためには交友関係を縮小する必要があります。
真っ先に見直したいのが飲み会です。
コロナ渦の影響で飲み会は減っているはずですが、状況が収まった頃に誘われることもあるかと思います。
しかし、同僚と愚痴り合うだけのような、大した目的のない飲み会は極力断るようにしましょう。
ダラダラと長時間続きがちですし、酔って帰った後の時間も無駄にしてしまいます。
飲み会でネガティブな話を聞いてモチベーションが下がってしまうこともあるかもしれません。
飲み会に限らず人付き合い、日常習慣などのひとつひとつが本当に必要か吟味してみてください。
2か年計画にする
ここまで4つのコツを紹介しましたが、激務で時間が作れないなど、どうしても実行できない方もいるでしょう。
打開策は2か年計画への切り替えです。
2か年計画のメリットは、単に時間が2倍になることだけではありません。
弁理士試験は、短答試験・論文試験・口述試験の3つからなりますが、各試験に免除制度があります。
例えば、1年目で短答試験に合格し、論文試験に不合格だった場合、翌年、短答試験が免除されます。
最初から2年かけて合格すると決めていれば1年目は短答試験に絞って勉強することが可能です。
全て対策して中途半端になりそうなら、割り切って2か年計画を採用してはどうでしょうか。
弁理士試験の具体的な勉強法
短答・論文・口述試験の個別の勉強法については下記の記事を参考にしてください。
もし「働きながら」が難しい場合には
ここまで読んでも「働きながら」は難しいと感じてしまうなら今の労働環境に問題がある可能性が高いです。
弁理士になる夢を諦める前に環境を変えることを考えてみましょう。
選択肢には次の3つがあります。
異動希望を出す
異動は一番穏やかな選択肢です。
時間的なゆとりが持てるポジションに異動できれば勉強時間を作りやすくなります。
もし勤め先の会社に知財部があれば知財部への異動もあり得ます。
知財業務の経験が積めますし、試験勉強への理解が得られる可能性があるからです。
ただし、弁理士資格の取得を積極的に推奨している知財部は多くありませんので、注意してください。
知財部での仕事には弁理士資格が必須ではないからです。
弁理士資格を持っている知財部員がいるか否かによっても環境は変わってきます。
異動前に部内の様子を確認しておきましょう。
転職する
転職する場合は、当然ながら資格取得後に勤め続けられる職場を選ぶことがポイントです。
特許事務所と企業知財部のほぼ二択になるでしょう。
どちらを選べばよいのか分からない方は下記の記事をどうぞ。
離職して試験勉強に専念する
離職する選択肢は勉強時間確保の点では最も効果的です。
ただしリスクが高いので、慎重な判断が必要となります。
私が考える、離職が選択肢になる条件は次の3つです。
- 年齢が若いこと(30歳くらいまで)
- 最低でも1年分+αの生活資金があること
- 特許事務所志望であること(職歴に空白期間があっても就職しやすいため)