弁理士試験は高難易度の国家試験として知られています。
合格者の平均受験回数は約4回、一発合格者は合格者全体のわずか10%程度です。
では、一発合格できるのは一流大学卒の超優秀な人達だけなのかというと、そうとは限りません。
高学歴でなくても一発合格に成功している人は大勢います。
彼らの合格体験談から分かるのは、一発合格者が共通して押さえているポイントがあることです。
このページでは、弁理士試験一発合格のための秘訣を紹介していきます。
また、一発合格に失敗した私の失敗談もありますので、反面教師にしてぜひ一発合格を掴んでください。
一発合格者が押さえている5つのポイント
一発合格者の合格体験記を読み込んだところ、彼らには共通する5つの特徴があることが分かりました。
無駄のない学習計画を立てている
一発合格者は勉強計画の立て方がうまく、効率的に勉強を進めています。
試験合格までの勉強時間は一般に3,000時間程度ですが、これを1年で達成するには1日8時間以上の勉強が必要です。
社会人や学生にはほぼ不可能な数字でしょう。
少ない時間で効率的に勉強しなければ一発合格することはできません。
弁理士試験は3次式(短答・論文・口述)で構成されており、3つの試験の攻略法は全く異なります。
一発合格者は試験日に照準を合わせ、いつまでに何を勉強すればよいのかを考え、無駄なく勉強しています。
予備校をフル活用している
弁理士試験の独学は難しく、予備校を利用するのが常識ですが、一発合格者は特に予備校を上手に活用しています。
具体的には通学の講座であれば講師に積極的に質問したり、勉強法の相談をしたりしています。
勉強が先行している受講生とつながりを持ち、情報交換もしています。
一方、最近は通学時間が節約できる通信講座を活用する受験生が多いです。
通信講座の場合、講師と直接話をするのは難しいですが、オンラインでの質問できる予備校もあります。
ちなみにおすすめの予備校は、低価格で品質の高い通信講座を受講できる資格スクエアです。
インプット・アウトプットのバランスがよい
一般的に学習でのインプット・アウトプットの割合は3:7が理想と言われています。
弁理士試験に必要な知識量は膨大であり、多くの受験生はどうしてもインプットに偏りがちと思います。
しかし、一発合格者はアウトプットを意識的に行うようにしています。
アウトプット用の教材には過去問、予備校の答練、模試などがあります。
過去問を繰り返し解いたり、答練・模試を受けっぱなしにせずに復習するなど、アウトプットに力を入れるようにします。
アウトプットに先立って知識のインプットを短時間で行うことも大切です。
一発合格者によると、講義の再生速度を上げることで時短を図るのが有効なようです(ただし、通信講座の場合)。
簡単に実行できる方法ですし、早い音声を聴きとろうすることで集中力が高まる効果も期待できます。
時間を有効利用している
効率的に勉強したとしても、一発合格するには自由時間を全て勉強に費やすくらいの覚悟が必要です。
一発合格者は時間の使い方が上手で、例えば次のような工夫をしています。
- 夜遅くまで勉強するよりも、早朝のすっきりした頭で勉強する
- 徒歩や車で移動しているときは講義の音声を聴く
- 講義を倍速で再生する
仕事や生活習慣は人それぞれですが、もっと使える時間がないか、一度振り返ってみてください。
周囲の人達から理解を得ている
一発合格者は、同居する家族、友人知人、職場の人など周囲の人達からの理解を得ています。
中でも家族の協力は欠かせないと言ってよいでしょう。
精神的なサポートを受けたり、休日に勉強時間を確保させてもらったりすれば、試験勉強が捗ります。
「家族に我慢してもらっているのだから一発で決めなくては」とモチベーションも高まります。
友人知人にはしばらく遊びに誘わないようにしてもらい、誘惑を遠ざけてください。
一方で協力を得にくいのが、職場の人達です。
特許事務所では弁理士資格の取得が推奨されますが、知財に関係ない職場で理解を得るのは現実的ではありません。
もし、将来的に特許事務所で働きたいのであれば、転職を先にした方が一発合格を目指しやすくなります。
特に若い方(30代前半まで)の場合、未経験・無資格でも特許事務所への転職はそれほど難しくありません。
十分に準備してから転職したい気持ちも分かるのですが、転職と試験のどちらを先にするのが自分にとって有利か、一度検討してみてください。
一発合格できなかった人の4つの後悔
一発合格できる人、できない人の大きな違いは何でしょうか?
私は一年目に短答合格・論文不合格で一発合格を逃し、翌年に最終合格しました。
一発合格できなかった私が初年度の試験を振り返って「こうしておけばよかった」と思った4つの後悔を紹介します。
みなさんはくれぐれも同じ失敗をしないようにしてください。
論文対策が間に合わなかった
短答試験(一次)に注力すぎて論文対策が不十分だったことが一つ目の後悔です。
論文試験は弁理士試験の天王山とも言わる難関です。
短答試験終了から論文試験までは例年1か月程度しかなく、その期間だけの対策では当然間に合いません。
短答試験前にも論文対策を進めておく必要があります。
短答前、私は入門講座の章末問題を解いたり、いわゆる一行問題を勉強する程度しかしていませんでした。
あまり論文に傾倒しすぎると短答で失敗するため、勉強量の配分が難しいところですが、少なくとも本試レベルの論文問題に早めに触れておくべきだったと思います。
この失敗に対しては先人に訊くのが有効で、
- 予備校講師に勉強ペースを相談する
- 中上級向けの論文講座を履修して、周りの受講生に追いつくことを目標にする
といった対策があります。
四法への集中が足りなかった
特許法・実用新案法・意匠法・商標法の四法は、短答・論文・口述試験の全てで出題される重要な科目です。
大学受験で言うところの英語・数学と考えてください。
短答対策として四法以外も含む全科目を万遍なく勉強してしまったのが反省点です。
一発合格を目指すのであれば「時間は有限」という事実をもっと重く受け止めるべきでした。
短答試験では四法の得点率を上げることを重視すればよかったと思います。
統計データはありませんが、おそらく一発合格者は四法でかなり高得点を取っているのではないでしょうか。
弱点を補強しなかった
予備校で入門講座のセットを受講することで一通りの勉強はできますが、多くの人はそれだけでは不十分です。
人によって得意分野・不得意分野があり、不得意分野を克服するには集中対策が必要となります。
私の場合、条約絡みの問題や判例に弱かったのですが、一年目にそこまで対策できませんでした。
二年目に集中講座を受講したことで、一度勉強した内容を別の角度から見ることで新たな発見を得ることができました。
また、いつもとは別の講師から学べたのもよかったと思います。
試験仕様の法文集で勉強しなかった
あなたは四法対照という法文集をご存じですか?
すでに弁理士試験を勉強中で「使ってるよ」という方もいるかもしれません。
四法対照は、特許法・実用新案法・意匠法・商標法で共通する条文や類似する条文を縦に並べた法文集です。
四法を比較しながら理解でき、特に入門段階の勉強に重宝します。
四法対照は優れた法文集ですが、実は欠点があります。
通常の法文集(各法律が1条から順に並んでいるもの)とレイアウトが大きく異なることです。
四法対照では特許法は1条から順に並んでいますが、残りの三法は番号順に並んでいません。
そのため、四法対照しか使っていないと、論文試験時に配布される通常の法文集をうまく使いこなせません。
論文試験は時間との勝負でもありますので、条文引きに戸惑っているようでは合格はおぼつきません。
そうならないようにぜひ四法対照と通常の法文集の2種類を用意してください。
そして、法体系が頭に入るまでは四法対照を使用し、慣れてきたら通常の法文集に切り替えましょう。
法文集1冊はせいぜい数千円で、その金額に見合うリターンは確実にあります。
なお、市販の法文集と試験用の法文集との違いもあるのですが、その違いは妥協できる範囲と思います。
もし、論文試験経験者が周りにいれば、試験で使った法文集を一度見せてもらうのもよいでしょう。