ひろゆき氏を弁理士が逆論破!?ライブ配信の発言をプロ目線で解説

ひろゆき氏を弁理士が逆論破!?

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ひろゆきさんは匿名掲示板・2ちゃんねるの開設者として有名ですが、最近では評論家の側面に注目が集まっています。

評論の対象は科学・政治経済・人間関係など多岐に亘り、弁理士についてもyoutubeライブ配信で何度か言及されています。

過激な発言で度々世間を騒がしているひろゆきさんだけに、正直なところ「どこまで信じていいの?」と思ってしまいませんか?

この記事では、現役弁理士がひろゆきさんの発言を徹底検証・解説していきます。

ネタ元の切り抜き動画はこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=riSGgJT5uS4
目次

弁理士に関するひろゆきさんの発言集

吹き出し

弁理士資格を取っただけで食える時代は終わった

最初から歯に衣着せぬ発言ですが、「だけ」が何も努力しなくてもという意味なら、確かにそのとおりです。

弁理士に限らず全ての士業(弁護士すら)について資格だけで食える時代は終わっていると思います。

弁理士を目指す人には、それなりの実務能力が求められると覚悟しなければなりません。

冷静に考えてみると、利益を生み出さなければ報酬が出ないのは当然の話で、むしろ昔が異常だったとも言えるでしょう。

特許は超重要だよねというのは(多くの企業が)分かってきている

近年、アップルVSサムスンの訴訟、青色発光ダイオード特許の報奨金をめぐる訴訟など、国内外で大規模な訴訟が起きています。

会社の経営を揺るがすほどの賠償額になり得るなら、企業も関心を示さずにはいられないでしょう。

前項目で弁理士資格だけで食えないとは言いましたが、知財が重宝されてきている事実は知財業界にとって追い風です。

士業の中で将来性ランキングを作るとしたら、弁理士はかなり上位に来るのではないでしょうか。

弁理士の将来性についてもっと知りたい方は下記の記事をどうぞ。

転職するときに弁理士資格を持っていると有利

これもそのとおりです。

ただ、より正確に言うと転職先によって事情は異なります。

そもそも転職先とはどこなのかを説明しますと、知財業界の主な転職先は特許事務所メーカーの知財部の2つです。

特許事務所に入る場合、弁理士資格の取得はほとんど義務と思ってください。

転職の時点で弁理士でなくても構いませんが、少なくとも将来的に取得することが求められます。

すでに弁理士になっているなら、特許事務所への転職にはかなり有利です。

一方、知財部への転職には必ずしも有利とは言えません。

知財部の業務には弁理士資格が必須ではないからです。

私が転職活動した経験から言うと、弁理士資格を評価する知財部は、

  • 知財法に関する知識を重視する
  • 部内に弁理士がいない又は少ない

といった傾向がありました。

一方、弁理士資格をあまり評価しない知財部は、

  • 知財部での実務経験を重視する
  • すでに部内に弁理士がいる

のような特徴でしょうか。

有利になる/ならないは「私の感想」にすぎないかもしれませんが、弁理士でも書類選考すら通らない会社があったのは事実です。

その他の条件が同じなら弁理士資格があれば多少は有利でしょうが、転職のためだけに取得しようするのはコスパが悪いと思います。

特許事務所と知財部の違いがよく分からない方は下記の記事をどうぞ。

知財部に勤める弁理士(企業内弁理士)について知りたい方は下記の記事をどうぞ。

弁理士には営業力と(他社と)揉めて特許を金に換える揉め力が大事

この発言は、文脈から判断するに特許事務所に勤める弁理士についてと捉えるべきでしょう。

まず、営業力の方ですが、確かにそのとおりです。

企業の知財部にいると、様々な特許事務所から営業を受けることがあります。

内容は、知財部向けセミナーへの案内や、訪問して挨拶させてほしいという申し入れなどです。

営業活動するのは、幹部クラスの弁理士が中心ではありますが、平の弁理士でも将来を考えると営業力が必要になります。

一方、知財部に勤める弁理士は自社の仕事だけをしますので、営業力は不要です。

次にひろゆきさんの言う「揉め力」ですが、こちらはどう答えてよいのか難しいところがあります。

知財業務には揉め事は付き物ではあるものの、少し誤解を生みそうな点が3つあります。

弁理士は単独で訴訟を代理できない

知財訴訟の結果は企業にとって重大であり、弁理士としても大きな仕事です。

ただし、弁理士が訴訟に関わるには弁護士とタッグを組む必要があります。

訴訟を主導したいのであれば、知財専門の弁護士を目指した方がよいかもしれません。

訴訟するのが得か?

訴訟が最善の選択になるのかという問題があります。

訴訟は労力の割にリターンが少ないこともあり、争わずに和解したり、ライセンス契約を結んだりする方が結局得になるケースは多いです。

新人弁理士は権利化業務から

質問者はこれから弁理士になる(かもしれない)人なので、まずは知財業務の基本を説明するのが親切でしょう。

統計データ上、特許出願は年間数十万件あるのに対し、訴訟はせいぜい数百件です(知財訴訟の統計データはこちら)。

しかも訴訟の依頼があっても新人弁理士が担当することはほぼありません。

特許事務所に入ると、権利化業務を一通り習得することからスタートします。

権利化業務とは、特許出願から始まり、権利が登録されるまでの一連の業務です。

新人に限らず、特許事務所の弁理士の多くは権利化業務にほとんどの時間を費やしています。

特許で儲けるには? → よい特許を取り、他人を訴える

お金

この発言に関しては、どちらかというと質問にダメ出しさせていただきたいところです。

「特許で儲ける」のは実は難易度が高いです。

特許で儲けるには、他人からライセンス料を取ったり、特許侵害している他人から賠償金を取ったりする手段がありますが、どうしても他人の行動に成果が左右されてしまいます。

つまり、誰かが都合よく自分の発明を実施したがっているか、無断で実施していなければ成立しません。

特許はそれ自体で儲けるのではなく、特許で自分の製品・サービスを守るというスタンスの方が商業的に成功しやすいと思います。

もちろん、事業が他人に妨害された場合には対抗すべきですが、あくまでも製品・サービスを提供して儲けるのが本筋でしょう。

病院の受付システムの特許を取るには? → 弁理士に相談してください。

動画ではいろいろと話が飛んでいますが、結局のところ、弁理士に相談するのがベストです。

弁理士に相談した場合、まず、同じ or 類似する発明がすでに知られていないか調査してもらうことになります。

ひろゆきさんが言うように特許庁のJ-PlatPatで簡単に調査することができます。

しかし、精度の高い調査をするためには、民間の業者が提供する調査ツールや、調査に関する専門知識が必要です。

質問者は画期的な発明と言っていますが、調査してみると近い発明が見つかるかもしれません。

調査結果次第で特許出願の仕方は異なってきます。

他にも考慮すべき要素がありますので、一概には言えませんが、おおよそ次のパターンです。

  • 類似した発明すら見つからない場合、広い権利範囲で出願する
  • 類似した発明が見つかった場合、隙間を縫って狭い権利範囲で出願する
  • 全く同じ発明が見つかった場合、出願を諦める

2番目のパターンについてはひろゆきさんが動画で言及していますね。

その他、出願のテクニックの話にも触れていますが、具体的な発明が分からないと詳しい判断ができないのでこの程度にしておきましょう。

ちなみに弁理士に気軽に相談したい場合は、日本弁理士会の無料相談を利用することができます。

まとめ

以上、ひろゆきさんの発言を検討してみました。

思ったよりと言っては失礼ですが、専門家から見てもうなずける点は多かったです。

見聞きした知識というよりも自身の経験に基づいて話されているような印象を受けました。

想像ですが、2ちゃんねるやニコニコ動画を運営する中で、特許などの知的財産権の取得や活用の経験を積まれたのかもしれません。

最後に、知財業界で働く者としては、実業家のひろゆきさんが知財を重要視している事実を強調しておきたいところです。

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